今日は好天に恵まれた。9時半頃からトマト苗の鉢上げ。第1陣分完了。プラグからポットへ移植したものの方が活き活きしている感じがする。弱々しくへたって今にも倒れそうだった苗も小さいなりに頭をもたげている。トミー液肥800倍液を全体に散布する。
11時過ぎ。学生時代からの旧友Fと奥様来訪。農園のスタート時より何かと助っ人に来てもらったものだが、この度N県・北アルプスの麓にある山村への移住を決意、まずはFが単身現地の農業法人で働く事になり、今日でしばしのお別れだ。旅立ち前の最後の援農作業として大根の播種、ほうれん草の間引き等手伝ってもらう。
予め3号ハウスに立てておいた畝を湿らせ、大根の種を3粒づつ20cm少々の間隔で播いてゆく。2条播き。1畝と3分の1程で種2袋分。再び灌水後ビニールトンネルを掛ける。透明マルチを張る予定だったが入手が間に合わず明日に。ほうれん草は種まきが厚くなってかなり株が混み合っている畝のを間引いてもらう。下葉の色が黄色いものが多い。不織布をベタ掛けするも生育は緩慢。間引き菜はおみやげに。お疲れさんでした。
ここからはちょっと音楽の話。
Fが『Django Reinhardt and Stephane Grappelli with The Quintet of the Hot Club of France』という私には得体の知れない30'sのジャズ・クインテットの輸入盤CD、それとハンブル・パイを貸してくれた。代わりに
ピーター・バラカン氏のラジオ番組で聴いて甚く気に入った、と話すのでアル・グリーンのレコードを渡す。ベスト盤の『The Best Al Green』とカヴァー曲集の『Cover Me Green』。
ベスト盤の方のラストを飾るのは『ベル』。ウィリー・ミッチェルの総指揮下、強力バックアップ陣を配しての所謂ハイ・サウンド〜アル・グリーン節とは一線を画す楽曲だが、このタイトルには少しばかり懐かしい想い出がある。あれはテレビ中継で観た
1978年の東京音楽祭。お互いまだ10代の洋楽好き少年だった頃。この曲の圧倒的な歌唱によって見事グランプリに輝いたアル・グリーンの事を、Fもまた記憶していた。多少の感傷も交えつつ、アルバムの中から旅立つヤツに贈る一曲を選ぶとすればこれになるだろうか。
ちょっと気になって
歌詞をネット検索して調べてみたら、ベルって“鐘の音=bell”ではなくて(恥)、“bell
e”。→フランス語beau(美しい)の女性形。美人・美女・佳人(小学館ラーナーズ プログレッシブ英和辞典より)の意らしい…。つまり世俗の愛の化身=Belleに宛てて別れを告げ、“He=Jesus”が全てと、アル自身のソウル・シンガーからゴスペルの世界への転身を暗示する様な内容だったのだ、う〜む。何か吹っ切れた印象の歌声と曲の後半になるにつれていや増す高揚感、その理由が少しは分かった気がする…。
俗世間臭に満ち満ちた我らが播州から清冽な北国の山懐へ。当分米づくり作業に慣れるまでが大変やろうが、山の美味い空気を深呼吸しつつ楽しんで。改めてこれからは百姓仲間としてヨロシクだ。なんかエエ情報あったら教えて下さい。そんでなんちゅうても山里暮らしの縁を大切に。
数年後、北アルプスを望む古民家カフェで、山猫夫婦が入れてくれる旨い珈琲を飲む日を、楽しみに待つこととしたい。俺も何とか早いとこ“Let's stay together…”なんて囁けるひとを見つけんと…えーっ、それでは最後に聴いてください、アル・グリーンで、『
ベル』。(渋谷陽一風に)